こちらは青い真竹に「みがき」をかけたひごで編み上げた大ぶりなかごです。
かご自体は竹とつづらふじで仕上げていて、花取籠(はなとりかご)と名付けられています。
「みがき」とは青竹の表皮を薄く一枚、刃物で削ぐ技法のことを言います。
みがくことで、表皮についた傷や斑点が見えにくくなり、
艶も出てくるため、見た目がより美しくなります。
「磨き」に対する言葉として、表皮がついたまま編んだものを「皮つき」と
呼んだりすることもあります。
目を見張るシュッと背が高い形が特徴的です。その高さおよそ55cmです。
形は特徴的でありますが、基本的な作りは他のかごと変わりません。
全体は幅広めの2組ずつの縦骨に細いひごを規則的にまわし編んでいく、
ござ目編みという編み方で、編んでいます。
サイズが大きくなっても、そのひごの滑らかな仕上がりは健在です。
全体は寸胴ですが、一番上の部分に近づくところで、キュッと開いています。
無理のない、それでいてシャープなくびれです。
口部分の縁づくりは同じく磨いた竹で「当て縁(あてぶち)仕上げ」という技法で、
つづらふじを使い、美しく、力強く仕上げられています。
上から見ても、その仕上がりの美しさがよくわかります。ほぼ正円です。
幅の広い縁にもかかわらず、節の部分もきれいにそろっています。
底を見ると、6本もの力竹(ちからだけ)が差し込まれています。
底の面積が小さくても、この本数は変わりません。
ぶつけて傷めやすい四隅は力竹によって守られています。
かごの底部分の内寸は約15cmx15cmです。
そして、この籠はただ花を生けるだけの籠ではありません。
華道をたしなまれる方からのリクエストから生まれたこの籠は、
ざっくりと花を挿したまま、肩にかけて運べるようになっています。
その肩にかける紐は、棕櫚ひもです。
シンプルに2回ほど固結びがされているだけなので、ご自身で長さは調節可能です。
竹とともに編み目に組み込まれ、籠と一体化しています。
底部分も内側にもくぐらせてあります。
こちらがわっか状で基礎になっていて、上からくる棕櫚ひもを結びつける形です。
そして、口部分の後ろには、短めの麻紐もついているので、
花を入れて、運び、そのまま展示までできてしまいます。
また、「みがき」の技術の素晴らしいところは、青い竹が輝くことはさることながら、
磨いたことにより、表面にムラがなくなる為、経年変化する際にきれいに飴色に変わっていくことです。
こちらのかごは程よく青色が抜けて、薄いあめ色が入ってきている段階です。
この出で立ちに、このサイズ感を目の前にすると、圧倒されます。
インテリアという言葉について、考えさせてくれます。
もちろん、お花をたしなまれる方々にとって、これは実用のかごにもなります。
一方、一般的なご家庭にこの籠は少々大きすぎますし、使い方も難しいです。
しかし、本質的なインテリアをど真ん中でいってくれる「飾りがいのある」籠とも言えます。
実用向けに作られた籠をインテリアにする贅沢を、この籠は確実に届けてくれます。
<桐山浩実さんの籠づくり>
竹とつづらふじの材料取りから仕上げまでを一貫して行い、
サイズ感や使い勝手など細部にまで、信念をもって、大分県で籠を作り続けています。
力強さと洗練されたデザイン性を兼ね備え、
磨いた青竹とつづらふじを使用した完成度の高いかごの数々は
桐山さん独自の哲学から生まれています。
サイズ/重量
高さ約55cm、口の直径約31cm、底の直径約18cm/950g
天然素材を使った職人手作りの為、一つ一つの形・風合い・色味が若干異なります。
予めご了承いただいた上でご購入いただけると幸いです。表示サイズ、重量などは目安となります。
お取り扱いについて
・ささくれや破片でお体や衣類などを傷めないようご注意ください。
・水に濡れたらカビが生えないよう、できるだけ水を切り、できればふき取り、
日陰の風通しのいいところで乾かすようにしてください。